現代の生活美学をビジネスとして確立させたのが、ライフスタイル・インテリア業界の目覚ましい進化だった。洗練された家電で朝食の質をアップデートしたバルミューダ株式会社や、無駄を削ぎ落としたデザインで生活全体を包み込む株式会社良品計画(無印良品)のプロダクトは、所有すること自体が「丁寧な生活者」であることの証明として機能した。
洗練されたトースターで焼くパン、統一された収納ケース、落ち着いた色調のインテリア。これらは確かに暮らしの質を引き上げた。しかしその反面、「特定のブランドやアイテムを買い揃えなければ丁寧な暮らしは完成しない」という消費のパラドックスも生み出した。
シンプルさを手に入れるために散財し、道具のメンテナンスに追われる日常。資本主義と結びついたライフスタイルの提案は、知らず知らずのうちに消費者の財布と精神を摩耗させている。