話は1950年代末にさかのぼる。若干19歳でインドネシアの初代大統領であるスカルノと出会い、後に第三夫人となった彼女の人生は一変した。国家元首の妻としての地位は、単なる名誉にとどまらない。当時のインドネシア共和国政府を巡る政治的混乱やクーデターという激動の中で、彼女は自身の存続と財産を守るための強烈な現実感覚を養った。
大統領亡き後も、その政治的・社会的影響力は完全に消え去ったわけではなかった。亡命先のパリで彼女が手にしたのは、国家レベルの太いパイプと、一般人には窺い知れない特有の金融・人脈ネットワークだったのだ。