県予選の決勝、ライバル校との激闘は今大会屈指の名勝負として語り継がれている。一進一退の攻防が続き、9回裏フルカウントの場面。一打サヨナラの絶体絶命のピンチで、エースが選んだのは渾身のストレートだった。
ベンチからのサインに頷き、深く息を吐き出す。マウンド上で見せた一瞬の静寂。放たれたボールは、相手主砲のバットを打ち砕き、マウンド上で静かに拳を握りしめた。打撃陣が沈黙する苦しい展開でも、決してマウンドで浮足立つことはない。バックを守る野手陣に笑顔で声をかけ、チーム全体の緊張をほほ笑みで解きほぐす姿は、まさに真のエースそのものだ。