事故の報を受けた瞬間から、損害保険業界のアジャスターや法務専門家が水面下で動き出す。車両本体の対物補償や対人賠償だけなら、通常の任意保険の範囲内で処理できるかもしれない。しかし、相手が芸能人であり、CMの放映中止やドラマの撮り直しが発生した場合、損害額の桁は跳ね上がる。
大手芸能プロダクションの幹部は頭を抱える。「CM1本の降板で数千万円から億単位の損害が生じる。損害保険会社がどの範囲までを『事故による直接の損害』と認めるかによって、事務所の死活問題になる」。契約書に盛り込まれたペナルティ条項をめぐり、法務担当者同士の血の滲むような交渉が深夜まで続けられている。