北大路欣也の役者人生の原点は、父・市川右太衛門の背中にある。1950年代、東映が誇る時代劇映画が日本中を熱狂させていた黄金期。13歳という若さでスクリーンデビューを果たした彼は、まさに名門の血を引くサラブレッドとして期待を一 shared に背負った。
だが、彼は親の威光に甘んじる男ではなかった。映画業界の頂点に君臨した父の威厳を間近で見つめつつ、早稲田大学へ進学。学業と演劇論を深めながら、自らの足で立つ表現者としての道を模索した。父から引き継いだのは、華麗な殺陣の技術だけではない。芸に対してどこまでも誠実であり続ける厳格なプロ意識である。