本作のメガホンをとったのは、『西部戦線異状なし』で世界中を震撼させた名匠エドヴァルト・ベルガー監督だ。彼の手腕により、静寂と色彩が計算し尽くされた独特の美的空間が創り出された。赤と白のコントラスト、重々しい足音、衣装のこすれる微かな音に至るまで、五感を刺激する演出が冴え渡る。
原作は、歴史フィクションの第一人者ロバート・ハリスによる同名ベストセラー小説である。緻密なリサーチに基づくバチカン内部の儀式描写と、息をもつかせぬ脚本構成が見事に融合。完璧な手腕で構築されたサスペンス劇は、観る者を最後まで画面に縛り付け続ける。