ネット上の情報や園芸Q&Aで最も多くの誤解が蔓延しているのが、晩秋から初冬にかけてのアスパラガス冬越し刈り倒し処理です。「秋に葉が少し黄色くなったら早めに切って片付けるのが清潔で良い」という言説が散見されますが、これは株を著しく衰弱させる致命的な誤謬です。
秋が深まり気温が低下すると、アスパラガスは地上部の茎葉で作った糖分を、すべて地下の貯蔵根へと送り戻す「養分転流」という生理現象を起こします。この転流は、霜が降りて地上部が完全に茶褐色に枯れ果てる瞬間まで継続して行われています。緑色が少しでも残っている段階で茎を刈り倒してしまうと、翌春の収量源となるはずの養分供給を途中で強制遮断することになり、翌シーズンの萌芽数が激減します。
正しい刈り倒しの時期は、初霜が数回降りて地上部が完全にカラカラに黄化・褐変した11月下旬〜12月中旬です。そして、刈り倒し作業において絶対に妥協してはならないのが「残さの徹底処分」です。
刈り取った枯れ茎には、茎枯病や斑点病の病原菌が「偽子のう殻」などの休眠形態で無数に越冬潜伏しています。これを「敷き藁代わり」として畝の上に放置したり、自家製堆肥に混ぜたりするのは自滅行為に等しく、翌春の萌芽と同時に病気の大発生を招きます。刈り取った残さは1本残らず集めて圃場外へ持ち出し、可燃ごみとして処分するか焼却処分するのが、露地栽培で連作を成立させる絶対防衛ラインです。
残さを撤去した後の畝には、お礼肥として完熟牛ふん堆肥を厚さ2〜3cm敷き詰め、適量の草木灰や苦土石灰を撒いて冬越しの保温と春の萌芽に備えます。