彼の芸の根底には、師匠である故・十代目桂米丸の教えが脈々と流れている。新作落語の名手として一時代を築いた桂米丸のもとで修業を積んだからこそ、古典の枠組みに縛られない柔軟な発想とテンポ感が養われた。前座や二ツ目時代に培った緻密な間と、型を打ち破るダイナミズムが同居しているのだ。
十八番の一つである古典落語『道具屋』では、与太郎の愚鈍さと愛嬌を見事に演じ分け、客席を大爆笑の渦に巻き込む。一方で、人情噺をかける際に見せるしっとりとした情緒や、登場人物の哀歓を浮かび上がらせる演技力には目を見張るものがある。破天荒な爆笑派というパブリックイメージの裏で、伝統芸能の神髄を捉えた確かな技術が作品を支えている。