天気予報アプリで「阿蘇市」の予報を見て安心していませんか。実はそこに最大の落とし穴が存在します。気象庁や民間気象会社が発表する「阿蘇市」のピンポイント予報の多くは、内牧温泉やJR阿蘇駅周辺などカルデラ底の平坦地(標高約500メートル前後)を基準に算出されています。
しかし、多くの観光客が足を運ぶ「草千里ヶ浜」は標高約1,140メートル、中岳火口周辺は標高1,200メートル以上、そして阿蘇最高峰の高岳は1,592メートルに達します。物理的な法則として、標高が100メートル上昇するごとに気温は約0.65℃低下します。つまり、阿蘇市街地と山上エリアでは基礎気温だけで約4〜8℃の差が生じます。
さらに見落とせないのが「吹き抜ける強風」による体感温度の低下です。気象力学上、風速が1m/s強まるごとに体感温度は約1℃下がるとされています。阿蘇の尾根や大観峰のようなカルデラ壁の頂部は常に風の通り道となっており、風速5〜8m/sの風が吹き荒れることも珍しくありません。市街地で「快適な20℃」であっても、山上では体感温度が10℃未満の極寒に急変する現象の正体はここにあります。