チェンライ県ドイ・ナンノン山脈の麓に位置するタムルアン洞窟は、地元住民にとって馴染み深い場所だった。全長10キロメートルを超える複雑な高低差を持つこの大洞窟は、乾季には格好の探検スポットとなる。しかし、雨季が訪れると牙をむく。水没の危険が高まるため、通常は7月以降の立ち入りが禁止されていた。
あの日、練習を終えた「ワイルド・ボワーズ」の少年たちは、メンバーの誕生日を祝う小さな冒険として洞窟に入った。滞在はわずか1〜2時間の予定だった。自転車を入口に止め、懐中電灯を手に奧へと進む。しかし、天候が急変した。時期尚早な大雨が山に降り注ぎ、濁流となって洞窟内部へとなだれ込んだのだ。
出口はあっという間に水で塞がれた。水面は急速に上昇した。選択肢は一つしかない。彼らは水の来ない高台を求めて、洞窟の奥へ奥へと退避するしかなかった。入り口から約4キロメートル離れた「パタヤビーチ」と呼ばれる小高くなった岩場、さらにその先の小さな棚状の泥地に、13人は追いつめられた。