「勝てば官軍負ければ賊軍(かてばかんぐんまければぞくぐん)」という言葉の根底にあるのは、「どれほど崇高な大義名分を掲げていても、負けてしまえば悪者に仕立て上げられ、勝った側こそが絶対的正義となる」という痛烈な教訓です。
ここで使われている「官軍」とは天皇や朝廷に属する正規の軍隊、すなわち正統な国家の軍勢を指します。一方の「賊軍」は、国家や朝廷に弓を引く反逆者、逆賊の軍勢を意味します。つまり、戦いの発端にある正邪ではなく、勝敗の結果そのものが正義の基準を書き換えてしまうという現象を鋭く突いた表現なのです。
西洋にも「歴史は勝者によって作られる(History is written by the victors)」という有名な格言が存在しますが、洋の東西を問わず、権力闘争の結末が倫理的な評価まで決定づけてきた歴史の真実を雄弁に物語っています。