日本国内と欧米諸国におけるディズニーキャラクターの受容のされ方には、文化人類学および社会心理学的な観点から見て顕著な差異が存在します。この「人気のズレ」を読み解く鍵は、日本独自のカワイイ文化と、対象を慈しむケア文化の構造にあります。
典型的な事例がダッフィー&フレンズの現象です。アメリカ本国で「ディズニーベア」として誕生した当初は限定的な反応にとどまっていましたが、東京ディズニーシーに導入され「ミッキーが航海に出る際、寂しくないようにミニーが作ったテディベア」という物語が付与された瞬間、爆発的なブームが巻き起こりました。日本では、無垢で無防備な存在を愛で、服を着せ替え、パークに連れて歩く「ぬい撮り」という参加型コミュニケーションが定着したのです。
対照的に、アメリカやフランスのディズニーパークでは、ダイナミックなアクションを見せるスーパーヒーロー(マーベル作品群)や、圧倒的なパワーとユーモアを兼ね備えたジーニー、クラシカルなアイコンとしてのミッキー&フレンズが依然として主流です。欧米では「自己の理想の投影」や「圧倒的なエンターテイナー性」が重視されるのに対し、日本では「守ってあげたい儚さ」「欠点も含めた愛らしさ」が熱狂を生む傾向があります。
また、ドナルドダックが日本でミッキーマウスに匹敵する、あるいは時に凌駕するほどの熱狂的ファン層を抱えている点も象徴的です。短気ですぐ癇癪を起こすが憎めないドナルドの人間味あふれる不完全さは、完璧な優等生であるミッキーよりも「心理的距離の近さ」を感じさせ、日本人の情緒に深く刺さっています。