神奈川県の水資源ネットワークを長年支えてきた相模ダムと津久井ダム。高度経済成長期よりも前に建設されたこれらの歴史的構造物は、半世紀以上の時を経て重大な局面を迎えている。最大の課題は、上流から流れてくる土砂が湖底に積み重なる堆砂現象だ。
堆砂が進むと、本来蓄えられるはずの有効貯水量が増えることはなく、削られていく。定期的な浚渫(しゅんせつ)工事が続けられているものの、自然がもたらす土砂の流入スピードに追いつくのは容易ではない。老朽化した設備本体の点検や補修作業も平行して行わねばならず、維持管理費用の膨張は避けられない状況だ。
古き良き時代の水資源開発が遺した財産は、今や高度な技術介入なしには現状維持すら危ういフェーズに入っている。都市の拡大に伴い求められる水圧と水量を確保し続けるため、現場では限界ギリギリの運用が続けられている。