当然ながら、睡眠医学の専門家や医師たちの多くは、堀氏の主張に対して極めて慎重、あるいは懐疑的なスタンスを崩していない。過去数十年間に及ぶ数々の疫学調査において、持続的な睡眠不足は心血管疾患、高血圧、糖尿病、さらには早期死亡リスクの有意な上昇と関連していることが証明されているからだ。
医学界の通説では、遺伝的に短時間睡眠で健康を維持できる「真のショートスリーパー(DEC2遺伝子などの変異を持つ人々)」は人口の1%未満に過ぎないとされる。後天的なトレーニングによって誰でもショートスリーパーになれるという堀氏の理論に対し、「単に慢性的な睡眠不足に脳が慣れ、自覚症状が麻痺しているだけではないか」「将来的な脳や内臓へのダメージが懸念される」といった警告の声は絶えない。