1980年代後半、世は空前のアイドルブームに沸いていた。大手芸能事務所が送り出す80年代アイドルたちがテレビの黄金期を彩る一方で、それとは異なるアンダーグラウンドな熱量をもって若者の心を掴んだのが、成人向け映像業界の興隆である。その中心地にいたのが「宇宙企画」だった。同レーベルが放つ独特のライティングとノスタルジックな世界観は、逢田美奈子という稀有な被写体を得たことで完成されたと言っても過言ではない。
圧倒的な透明感と、どこか憂いを帯びた瞳。カメラの前に立つ彼女は、テレビ画面の向こう側のトップアイドルたちに勝るとも劣らないオーラを漂わせていた。過激さばかりが追求されがちだった当時の業界において、彼女の作品に流れていたのは静謐で詩的な空気感である。この独自性こそが、当時のサブカルチャー層に決定的な衝撃を与えた最大の理由だった。