カリウムは生命維持に不可欠である反面、体内の処理能力を超えて血液中に滞留すると「高カリウム血症」という命を脅かす病態を引き起こします。
高カリウム血症の初期には自覚症状が乏しいものの、進行すると以下のような重篤な症状が現れます。
- 手足や唇のしびれ、知覚異常
- 筋力低下、全身の激しい倦怠感
- 嘔気、腹部不快感
- 徐脈(脈拍が異常に遅くなる)、致死性の心室細動・心停止
特に厳重な警戒が必要なのが、慢性腎臓病(CKD)の患者や、加齢により腎機能が低下している高齢者です。腎臓のフィルター機能(糸球体濾過量)が落ちると、余分なカリウムを尿として体外へ捨てることができなくなります。そのため、腎臓病の治療現場では「野菜は必ず茹でこぼしてカリウムを抜く」「生の果物や海藻類を厳しく制限する」という、健康な人とは正反対の食事指導が徹底されます。
さらに、高血圧治療で頻用される一部の降圧薬(ACE阻害薬、ARB、カリウム保持性利尿薬など)を服用している場合、薬の作用で体内にカリウムが溜まりやすくなります。通院中や定期服薬中の方がカリウムを意識した食生活を始める際は、独断で行わず、必ず主治医やかかりつけ薬剤師への相談が必須です。