人間の脳は体重のわずか2%ほどに過ぎない。それにもかかわらず、全身の酸素消費量の約20%を消費する高代謝器官である。これを支えるのが、頭蓋底に美しく配置された環状の動脈網だ。解剖学の視点で見ても、その機能美は目を見張るものがある。
主な構成要素は、左右の内頸動脈と椎骨・基底動脈系だ。これらが前連絡動脈や後連絡動脈という細い血管を介して相互に接続し、環(リング)を構成している。かつて大きな反響を呼んだNHKスペシャル『人体 神秘の巨大ネットワーク』でも紹介された通り、脳内の血管同士が血圧や血流の変動に応じて相互に補完し合うメカニズムは、生命維持の神秘そのものと言える。