制作陣を率いる福澤克雄監督の映像演出は、第13話において更なる高みに達した。物語の中盤、乃木が回想する「蒙古の馬に乗る幼少期の記憶」のカットにおいて、背景に映り込む建造物の影が「現代の建築構造」と矛盾している点が指摘されている。
単なる美術のミスと捉えるのは早計だ。この0.5秒のシーンは、乃木憂助の記憶自体が「誰かによって植え付けられたもの(フラッシュバックの再構成)」である可能性を示唆している。彼の記憶の混濁、そして「F」というもう一つの人格の誕生の背景には、我々が知る孤児院での悲劇以上の、より深い国家的陰謀が隠されていることを映像そのものが雄弁に語っている。