「なぜまだ雨も降っていないのに電車が止まるのか」という不満の声は絶えない。しかし、鉄道の運行を左右する最大の敵は雨ではなく「風」だ。日本の多くの路線では、沿線に設置された風速計の計測値に基づいて厳格な規制値が設けられている。
一般的に、風速20メートルを超えると減速運転が命じられ、風速25メートルに達した瞬間に全線での運転見合わせが自動的にトリガーされる。特に橋梁(鉄橋)部分や高架線を走る路線、あるいは防風柵が未設置の区間では、横風による車両の転覆リスクが跳ね上がる。強風で架線が大きく揺れ、パンタグラフとの接触が断たれる「離線」が発生すれば、一発で大規模な停電トラブルへと発展する。車体の重さに頼った強行軍は、今の鉄道現場には存在しない。