現代の台風対策において、単一の気象機関による発表だけを追う時代は終わった。日本気象庁(JMA)の決定論的予測モデルに加え、アメリカのGFSや欧州のECMWFが弾き出すアンサンブル予報を並べて比較することが、玄人の間では常識となっている。
例えば、太平洋高気圧の勢力強弱に対する感度は、気象機関ごとに使用するスーパーコンピュータの物理パラメーター設定によって微細に異なる。複数機関の進路軸が一致している場合は「確信度が高い」と判断できるが、各モデルの進路が扇形に大きく散らばっている場合は「予報が急変するリスクが大きい」と見なす。このアンサンブル予測の拡散度合いを見極めることこそ、数日後のスケジュール調整や避難準備の判断基準となる。