萩原の凄みは、TVドラマの人気だけにとどまらなかった。映画界においても、彼は同世代を大きく突き放す圧倒的な評価を獲得していた。1993年公開の山田洋次監督作品『学校』では、不登校の過去を持つ傷つきやすい青年を演じ、日本アカデミー賞話題賞を受賞。さらに1995年の『マークスの山』や『GONIN』など、重厚なクライムサスペンス作品での演技は日本映画史に深く刻まれている。
極めつけは1997年、黒沢清監督による心理サスペンスの傑作『CURE』だ。記憶障害を抱え、出会う人々を心理的に追い詰めていく謎の男・間宮邦彦役を怪演。不気味なほどの無機質さと無垢さが同居する演技は国内外で大絶賛を受け、世界の映画ファンにもその名を轟かせた。
単に「かっこいい」だけではない。人間の内面に潜む狂気や弱さ、美しさを完璧に体現できる若手俳優として、映画監督たちからも絶大な信頼を寄せられていたのである。